著者: David Linthicum

ほとんどのマルチクラウドのデプロイメントでデータが障害となる

特集
18 Jul 20231分
クラウドコンピューティングクラウドマネジメントITマネジメント

マルチクラウドが望ましいアーキテクチャであるならば、相互運用性、セキュリティ、ポータビリティ、集中管理についてしっかりとした計画を立てなければなりません。御社はいかがですか?

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クレジットShutterstock

データ統合、データ セキュリティ、データ管理、単一の情報源の定義など、データにまつわる問題は常に存在していました。しかし新たな点は、これらの問題をマルチクラウドのデプロイメントと組み合わせた場合です。これらの問題の多くは、前もって多少計画を立て、何年も前から理解されている一般的なデータアーキテクチャのベストプラクティスを使用することで回避できます。

私が思うところ、核心的な問題は、企業が、マルチクラウドのデプロイにデータをリフト&シフトする際に起こりうる一般的な問題を十分に予見せずに実行することです:

データサイロの形成:複数のクラウドサービスを利用することでデータのサイロ化が進み、複数のプラットフォーム上でデータを統合して管理することが難しくなることがあります。これは驚くことではありませんが、多くの点でマルチクラウドはデータのサイロを増加しています。

これには、データ統合技術の活用、データの抽象化や仮想化などのデータ統合のアプローチ、また今ではよく理解されているトリックを使う必要があります。もしくは、データストレージシステムがサイロにならないように設計しなければなりません。

データ セキュリティをおろそかにする:複数のクラウドサービスにまたがる機密データのセキュリティを確保することは複雑な作業であり、しばしばセキュリティリスクを高めることになります。

各クラウドサービス特有のセキュリティニーズに対応しつつ、データセキュリティへの対応の複雑さを増さないような、堅牢なデータセキュリティ戦略の策定が不可欠です。これは、多くの場合、セントラルセキュリティマネージャー、またはパブリッククラウドプロバイダ上に存在する他の技術、つまり、スーパークラウドやメタクラウドを利用してネイティブのセキュリティサービスを抽象化することを意味します。この論理的な技術レイヤは雲の上の存在であり、 今まさに変化しているように思われる概念です。

データ ポータビリティを考慮していない:あるクラウドサービスから別のクラウドサービスへデータを移行するのは困難です。ここでは、データの形式、サイズ、依存関係を考慮したしっかりとしたデータポータビリティ戦略が重要です。

マルチクラウドに移行する企業のほとんどは、「このデータセットをここからあそこへ移行するには何が必要か」という問いに答えられません。データセットが単一クラウドやマルチクラウドのデプロイメントからオンプレミスに戻ることもあるため、この質問への答えはいざというときのために用意しておく必要があります。自分で選択肢を作っておかなければならないのです。

データが一元管理されていない:複数のクラウドサービスにまたがるデータの管理は、すべてを手作業で行おうとするとリソースを大量に消費することになります。多様なデータソースを扱い、データの一貫性を確保できる一元的なデータ管理システムを持つことが必要不可欠です。この場合も、パブリッククラウドプロバイダやネイティブデータ管理の実装よりも一元的に抽象化される必要があります。データの複雑さに対処するためには、データの複雑さそのものを条件とするのではなく、自身の条件で対処しなければなりません。ほとんどがデータの複雑さを選んでいますが、これは大きな間違いです。 

相互運用性の欠如:大きな課題は、相互運用性です。実際には、これはデータサイロ、データポータビリティ、およびデータ一元管理の欠如など、これまで挙げてきた問題が組み合わされていますが、あえて個別に指摘しておく方がよいでしょう。

異なるクラウドサービスやクラウドデータの相互運用性を確保することは、頭痛の種となる可能性があります。各クラウドサービスがサポートするデータ交換標準を明確に理解し、ギャップを埋めるための計画を持つことが重要です。

ほとんどのデータは、あまり考えられることもなく、相互運用の仕組みもないまま、マルチクラウドのデプロイメントに投入されるだけです。そうなると、デプロイメントの前後に、戦略的に、また十分に理解されなければならない相互運用性が、戦術的な取り組みになってしまうのです。。

これらの課題はすべて、確立されたソリューションのパターンや実現可能な技術によって非常に解決しやすいものであることが悔やまれるところです。企業は、マルチクラウドのデプロイメントを急ごうとするあまり、つまらないミスを犯し、マルチクラウドやクラウド移行全般のROIを確認しないことが多いのです。ダメージの大半は自らが招いたものであると言えます。

事前によく調べ、プランを立て、適切な技術を活用してください。それほど難しいことではありませんし、長い目で見れば、あなたやあなたの企業の時間とコストを大幅に節約できるのです。